犬の歯に歯石がたまると、どうなってしまうのですか？

歯にたまった歯石は、犬の健康に様々な影響を及ぼしてしまいます。ここでは、犬の歯石により起こりうる病気についてご紹介させていただきます。

１．歯肉炎

犬の歯石は人間と同じように、歯の生え際にたまります。そのため歯石がたまってくるとまず起こるのが、歯茎に炎症が起こる「歯肉炎」です。
歯肉炎になってしまうと、歯茎が赤くはれてしまい、健康な歯茎にとっては何でもないような刺激でも血が出たり化膿してしまったりするようになります。

２．歯周炎

歯肉炎が悪化してくると、さらに深刻な「歯周炎」になってしまいます。
歯周炎の症状には実に様々なものがあります。最初は歯茎が腫れたり歯茎から血が出たりする程度なのですが、悪化してくるにつれて歯がぐらぐらと動き始めたり、歯が抜けてしまったりします。
また単に歯が抜けてしまうだけではなく、歯を支えている歯槽根という組織が破壊されてしまったり、歯が溶けてしまったりすることもあります。
そして最悪の場合、顎の骨が折れてしまったり、歯茎に穴が開いてしまったり、炎症が顔にまで及んで顔の表面に潰瘍のようなものができてしまったりもするのです。

３．もっと深刻な病気

歯肉炎や歯周炎は、いわば“お口の中で起こるトラブル”に過ぎませんが、歯石が原因となって起こる病気は口腔内で発生するものだけではありません。
歯周炎が進行してしまっている犬の口腔内は、いわば“細菌のデパート”です。悪環境にある口腔内は細菌や雑菌が繁殖するためには絶好の場所ですので、様々な菌がどんどん増えてしまうのです。
こうして増殖した細菌は、食事とともに犬の体内に取り込まれ、様々な感染症を引き起こします。また口の中で繁殖した菌が歯肉内や歯周ポケット内にある血管の中に入ってしまった場合、その菌は血流に乗って心臓や肺など様々な臓器に運ばれてしまいます。
そしてその菌が原因となって、心臓病になってしまったり、肺炎を引き起こしてしまったりするのです。
これらの病気は、まさに愛犬の命にかかわる病気ですよね。実際、とある動物病院のデータによると、心臓病にかかっている犬の半数以上が歯周病を抱えていたのだそうです。

以上のように犬の歯石は、単に歯茎の炎症を引き起こしたり歯が抜けてしまう原因となったりするだけではなく、愛犬の寿命にかかわるような恐ろしい病気の原因となってしまいます。
愛犬の健康維持のためには、歯石対策を含む入念なオーラルケアが重要となるわけですね。

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